こんにちは!たにしマン(@millionworkout)です!
「これからの正義の話をしよう」でおなじみマイケル・サンデルさんの最新刊です。
これまでの著作でもたびたび触れられている、能力主義による社会の分断について深堀した内容になっています。
いつもどおり、話の組み立てがうまく議論の流れがとても分かりやすいです。
特に印象に残った部分について記録しておきます。
どちら側にいても消耗する世界
自分 の こと は 自分 で できる という 考え方 が 強く なれ ば なる ほど、 感謝 の 気持ち や 謙虚 さを 身 に つける のは ますます 難しく なる
マイケル サンデル. 実力も運のうち 能力主義は正義か? (Kindle の位置No.319-320). 株式会社 早川書房. Kindle 版.
能力主義の基礎にあるのは、個人主義であり自由主義です。
個人の自由が強調されればされるほど、成功は自分のおかげで、失敗は自分のせいとう考えが強くなります。
そのような社会に生きていると、成功者は傲慢になり、敗者は屈辱的な気持ちになります。
さらに、資本主義社会において、お金のもつ社会的意義があまりにも大きく、金持ち=成功者、貧困層=敗者 という感覚が無意識のうちに刷り込まれています。
社会の不平等に対する不満は、たんに富の再分配の問題ではないといいます。すなわち、お金持ちが貧困層を見下す姿勢が不満の元凶だということです。
社会の分断によって、金持ちは貧乏になるのを恐れ、子供の頃から精神をボロボロにしてまで学歴獲得に躍起になります。一方、貧困層は社会からはじき出されているような感覚で金持ちにも自分自身にも不満を抱くようになります。
世のため人のため
人間 が 根本的 に 必要 と する のは、 生活 を 共に する 人びと から 必要 とさ れる こと で ある。 労働 の 尊厳 は、 その よう な 必要 に 応える ため に 自分 の 能力 を 発揮 する こと に ある。
マイケル サンデル. 実力も運のうち 能力主義は正義か? (Kindle の位置No.4658-4660). 株式会社 早川書房. Kindle 版.
能力主義の怖いところは、結果を勝ち負けでしか捉えられなくなることだと思います。
金持ちが偉い、貧困層は自己責任。
金持ちのほうが絶対的に幸せだと決まっているかのような考えを持っていると、常に誰かが不満を抱かなければなりません。
そうではなく、市場における対価の大きさとは別に、「誰かの役に立っている」という感覚が大切だということです。
誰もがそうした感覚を抱くためには、「自分が社会になにを与えているか」よりもむしろ「自分が社会から何を受け取っているか」を意識し、感謝の気持ちを持つことが必要だと思います。
自分の市場価値をあげるのも悪くはないと思いますが、それ以上に道徳的に成熟した人間を目指すことのほうがはるかに重要かつ合理的かもしれません。
以上です。ありがとうございました。
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